生活のこと

懐かしい音にふれて

ひと月に一回かふた月に一回か。休みの日の午後に時間が取れると父に会いに行く。
父はちょうど二年前の誕生日からホームで暮らしている。

コロナはすっかり明けたので、昨年の春過ぎから面会も父の自室で行えるようになった。いつもなら昼食後に談話室で女子たちを過ごしている2時頃に行くのだが、この日は都合で3時。私と兄がつくと、自室で横になってうとうとしていた。

「お父さん、来たよ」と声をかけると薄目を開けてこちらを見るが、またすぐにうとうとする。もう夏位からは私がだれかということも分からなくなってきているので仕方ない。それでも懲りずに「お父さん、よーこだよ。会いに来たよ」と言い続けているとだんだん思い出してきたようで、微笑んだり、指を伸ばして私の鼻に触ろうとしだした。

兄がスマホで小林旭をかけ始めた。でもなんかしっくりこない。父が好んで聞いていたのは洋楽、ナットキングコールやブラザースフォーをかけると父は心地よさそうな顔になった。

横になったままだが、リズムに合わせてこちらが手を振ると、それに合わせて父も手の平を表にしたり裏にしたり。その時間がとってもいとおしく感じられた。

誕生日が近いので、帽子をプレゼントした。体は細く小さくなったけど頭のサイズは変わらないんだね。帽子小さくてごめん。
また来るね。

 

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