生活のこと

おばあちゃんと自転車

バスが通り過ぎたすぐ後ろから渡ろうとした自転車。
反対車線から来た車にびっくりして急停止。
車もびっくりして急停止。
自転車、しばらくして車側に倒れた。
・・・というシーンを歩きながらぼんやり見た私。
自転車がこけたのを見て、駆け寄った。
車の運転手もおりてきた。
「大丈夫ですか」
私が自転車を起こし、運転手の男性が女性を後ろから抱き起こす。
おばあちゃん。70代くらいかなぁ。
高島平にわんさかいる世代だ。
怖かったのか小さく「すいません」と言って固まってる。
自転車をはじに寄せて、様子を見る。
左のひじから出血してる。
おばあちゃん、自分のリュックを開けて
ティッシュとか手ぬぐいを取り出し
割と手際よく巻きつけた。
何でも入ってるバッグだね。
頭とかは打ってないみたい。
歩くのも大丈夫そう。
「ぶつけなくてよかった」
運転手の男性が胸をなでおろす。
「そうですね」と私。
私が気付いたのは自転車が倒れるところからだけど
ぶつかった音もしてないし、倒れたのも車の方向だし
自転車が飛び出して自爆したのは間違いない。
と、そこで助手席から
「何やってるのよ」
と険しい声。
まるでドラマのワンシーンみたいに
ふてくされた彼女(奥さん?)
まあ、気持ちもわからなくないけど
悪いのは自転車だし、と思うけど、
やな感じ~。
「じゃ、おばあちゃん、気を付けてね」
運転手はそう声をかけて車に戻り去っていった。
残ったのは自転車とおばあちゃんと私。
そう来たか。
「自転車乗れますか」
「はい」
「無理しないで。渡るのも信号のあるところがいいですよ」
「はい」
おばあちゃんは小雨の中、自転車に乗って帰っていった。

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